認定制度について
「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」認定制度は、学生の数理・データサイエンス・AIへの関心を高め、それを適切に理解し活用する基礎的な能力(リテラシーレベル)や、課題を解決するための実践的な能力(応用基礎レベル)を育成することを目的として、数理・データサイエンス・AIに関する知識及び技術について体系的な教育を行うプログラムを文部科学大臣が認定及び選定して奨励するものです。
滋賀大学のプログラムは認定制度が始まった令和3年度に、リテラシーレベルの中でも先導的で独自の工夫・特色を有するとして「数理・データサイエンス・AI教育プログラム リテラシーレベル+(プラス)」として選定されました。
さらに令和4年度には「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(応用基礎レベル)」に認定されました。特に、データサイエンス学部のプログラムについては、認定された教育プログラムのうち、先導的で独自の工夫・特色を有するとして「応用基礎レベル+(プラス)」に選定されました。
(【データサイエンス学部】認定期限:令和9年3月31日)
(【教育学部・経済学部】認定期限:令和9年3月31日)
(認定期限:令和8年3月31日)
プログラムの目的
滋賀大学では、全国に先駆けて設置したデータサイエンス学部で専門的な教育を行っているほか、教育学部・経済学部においても学部の副専攻プログラムを通じて数理・データサイエンス・AIを学ぶことができる体制を整えています。
「滋賀大学数理・データサイエンス・AI教育プログラム」は、令和2年度からスタートした全学部対象のプログラムです。「リテラシーレベル」では、所属学部に関わらず、すべての学生が身につけるべき基礎的な能力を養うこと、「応用基礎レベル」では、自らの専門分野への活用を可能とする応用基礎力を修得することを目的としています。
プログラムの特徴
- 「数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム」が作成した「数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)モデルカリキュラム」に対応した教育内容を提供
- 学生が数理・データサイエンス・AIへの関心を高め、学ぶことや活用することの楽しさを実感できることも重視
- 令和3年度は、文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」で、リテラシーレベル+(プラス)」に選定(令和8年3月31日まで)
- 令和4年度は、同プログラムの「応用基礎レベル」に認定(令和9年3月31日まで)
特に、データサイエンス学部のプログラムについては、「応用基礎レベル+(プラス)」に選定「+(プラス)」は、特に先導的で独自の工夫・特色を有するプログラムのみ選定
- 令和4年度「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル・応用基礎レベル)」の認定・選定結果について(文部科学省HP)
- リテラシーレベル認定制度申請内容
- 応用基礎レベル認定制度申請内容(データサイエンス学部)
- 応用基礎レベル認定制度申請内容(教育学部)
- 応用基礎レベル認定制度申請内容(経済学部)
プログラムの概要・修了要件
リテラシーレベル
【修了要件】
- 「データサイエンス入門」及び「データサイエンス・AIへの招待」という同じ内容の2科目から構成
- 教育学部・経済学部では、全学共通教養科目「データサイエンス・AIへの招待」(2単位)を履修し、単位を修得することが修了要件
- データサイエンス学部では、「データサイエンス入門」(2単位)を大学入門科目として履修し、単位を修得することが修了要件
- リテラシーレベルについては、学生の皆さんの申込手続きは不要
令和3年度から「データサイエンスへの招待」は「データサイエンス・AIへの招待」に科目名を変更
授業内容
「データサイエンス入門」「データサイエンス・AIへの招待」
データは21世紀の石油という言葉にも象徴されるように、データから価値を生み出すデータサイエンスの重要性は、近年、非常に大きくなっている。その背景には、ユビキタス・IoTなどの技術の進歩に伴うデータ収集のコストの低下や、通信回線、コンピュータの性能の向上など、大量のデータを収集、保持、分析できる技術の発展がある。データの収集・加工・処理、データの分析、分析結果の解釈とその活用というデータサイエンスの3要素について紹介する。
応用基礎レベル
【修了要件】
- リテラシーレベルを修了した方を対象に、「専門×データサイエンス」の実践力を身につけることが目的
- 全学部学生が参加可能
- 専門性に応じたプログラムで、所属する学部により科目構成・修了要件が異なる
- 所定の単位を修得し応用基礎レベルを修了すると修了証を発行。就職活動などの際に、データサイエンスに係る実践的な能力を獲得していることをアピールできる
- 応用基礎レベルの申込については、教務システムを通じてお知らせします。
【カリキュラムツリー】
【応用基礎レベル科目表】
授業内容
〈主な科目〉
「AI概論」
AI・情報科学は現代社会を支える学問である。AIや情報科学はさまざまな分野を含み、社会のあらゆる場面で応用されている。本講義ではAI・情報科学の各分野を知り、それが社会の中でどのように役立っているのかを理解することを目的とする。それぞれの専門科目を学ぶ動機付けを得て、情報科学の利用者、開発・研究者となるために身につけておかねばならない基礎概念を獲得し、情報科学的な思考習慣と倫理を身につける。情報科学の過去と現在と未来についても考える。
「教育データサイエンス入門」
データサイエンスをもとに教育に関して科学的な議論を展開するための基礎的な知識と技能を身に付けることを目標にする。高校で学んだデータの分析、統計的推測の内容を復習しながら、変数間の関係性を議論する多変量解析の基礎として回帰分析について解説する。また、回帰分析以外の機械学習や深層学習の発展と応用例にも触れ、AIと社会特に教育との関係についても解説する。
「情報科学Ⅱ」
通信の本質を数学理論として体系化したシャノンの理論をふまえ、情報源符号化および通信路符号化について学ぶ。データ圧縮や、通信における誤り訂正の仕組みなど、身近な応用がされている分野の基礎理論となる。
「データサイエンス・AIへの招待演習」
データサイエンティストとは、統計学と情報学の知識だけではなく、それらのスキルを実際に使いこなし、現場の問題を解決できる体系的能力を持つ者である。データサイエンティストとして働くためには、問題を設定し、問題を解決するために必要なデータを定め、データを収集し、分析結果を理解し、その分析結果の確認及び活用できること(PPDACサイクル)が必要である。本授業では、Excelや統計ソフトを用いてデータ分析を行う。 また、教育学部においては、教育に関するデータを題材にそれらを体験するための演習を実施する。
令和6年度の各科目のシラバスは以下のとおりです。
応用基礎レベル科目
- 「データ処理論」
- 「数式処理論」
- 「情報技術演習Ⅰ」
- 「情報システム論」
- 「教育データサイエンス入門」
- 「教育データサイエンス論」
- 「線形代数への招待」
- 「解析学への招待」
- 「データ構造とアルゴリズム」
- 「プログラミング1」
- 「プログラミング2」
- 「統計数学」
- 「データベース」
- 「情報科学Ⅱ」
- 「AI概論」
- 「AI・情報倫理」
- 「AI・機械学習入門」
- 「データサイエンス入門演習①」
- 「データサイエンス入門演習②」
- 「データサイエンス入門演習③」
- 「データサイエンス入門演習④」
- 「データサイエンス入門演習⑤」
- 「データサイエンス応用演習①」
- 「データサイエンス応用演習②」
- 「データサイエンス応用演習③」
- 「ビジネス価値創造論」
- 「データサイエンス・AIへの招待演習①」
- 「データサイエンス・AIへの招待演習②」
- 「解析学」
- 「線形代数」
- 「マルチメディア処理入門」
- 「テキストマイニング」
- 「AI・機械学習」
- 「多変量解析入門」
- 「標本調査法」
- 「実験計画法」
- 「最適化理論」
- 「シミュレーション技法」
- 「データ研磨」
- 「情報セキュリティ」
過去のシラバスは以下のリンクから確認できます。
(又はSUCCESSから検索 https://success.shiga-u.ac.jp/Portal/Public/Syllabus/SearchMain.aspx)
身につけられる知識・能力・技能(学修成果)
- データサイエンスの社会における重要性についての理解
- データサイエンスの体系の概要と、データサイエンスを習得するためにどのような学習が必要とされるのかについての理解
- データの収集・加工・処理、データの分析、分析結果の解釈とその活用というデータサイエンスの3要素についての基本的な技術を修得
- データサイエンスの応用事例についての理解
[応用基礎レベル修了者] - 実データ、実課題(学術研究データ等も含む)を用いた分析に係る専門的知識・能力(データサイエンス学部)
- 教育分野への応用、教育データの解析のためのプログラミングなどICT活用に関する技能とその指導能力(教育学部)
- ビジネス課題の解決のため、どのようなデータが必要か、データはどこにあるかを判断できる等、現実の課題に対する活用能力(経済学部)
修了証(オープンバッジ)の発行
所定の単位を修得した方には、世界共通の技術標準規格に沿ったデジタル証明である「オープンバッジ」を発行します。就職活動時に修了証を示すことで、データサイエンスに係る実践的な能力を担当者にアピールすることができます。
実施体制、プログラムの質保証に向けた取り組み、自己点検結果等
教育・学生支援機構教育推進部門に「滋賀大学数理・データサイエンス・AI教育推進部会」を設置し、各学部の学務関係委員会と連携して実施する体制を構築しています。また、「滋賀大学数理・データサイエンス・AI教育推進部会」が中心となり、本学における数理・データサイエンス・AI教育の推進及び質向上を図ることを目的として、毎年度、 数理・データサイエンス・AI教育プログラムの自己点検・評価を実施しています。
プログラムの履修状況・修了状況については、各学部学務委員会及び教育・学生支援機構が把握を行います。数理・データサイエンス・AI教育推進部会は、プログラムの開発、管理及び運営並びに質向上について全学的に連絡調整を行います。プログラムの学修成果については、「滋賀大学における成績評価のガイドライン」及び各学部で作成している成績評価のガイドラインに基づき、シラバスで各科目の到達目標を明示し、客観的かつ厳格な成績評価を行います。また、各科目の授業評価アンケートや学生生活実態調査などを用いて多面的に学修成果の把握を実施するとともに、データサイエンスに関する外部コンペティション参加なども学修成果として評価することとしています。さらに、学部の外部評価や大学全体の自己点検・評価報告会などの機会に産業界からの意見を伺い、教育プログラムを改善する際の参考とします。同窓会とも定期的に意見交換を行い、教育プログラムへの要望・期待などを取り入れることとしています。
自己点検・評価の結果
毎年度、当プログラムについて自己点検・評価を実施し、概要をホームページで公表します。自己点検・評価結果に基づき、プログラムの改善・向上に努めてまいります。
授業評価アンケートの結果
[令和4年度]
[令和3年度]
[令和2年度]
令和2年度開講の「データサイエンスへの招待」(計3クラス)の授業評価アンケート結果では、「授業はよく理解できた」、「授業には総合的に満足である」の質問に対して5段階評価で「強くそう思う」、「そう思う」との回答が3クラスで6割~7割を占めました。
学生の声・産業界からのご意見
プログラムを履修した学生の声をご紹介します。今後も、学生の声、修了生の就職先、産業界からのご意見などを公開する予定です。
[令和4年度秋学期 学生からの主な感想・意見]
- 情報社会を生きていく上で不可欠となる知識を身につけられたと思う。(リテラシーレベル)
- コードを見ながら創意工夫して思い通りの動作をさせるという内容が非常にわかりやすく、とても刺激的だった。(応用基礎レベル(教育))
- 授業内容は分かりやすく、やや発展的な内容にも無理なく触れられた。(応用基礎レベル(経済・データサイエンス))
- 練習問題がもう少し欲しい。(応用基礎レベル(データサイエンス))
- 実際のケースを想定した課題に取り組むことができ、より実践的な力を身につけることができたと思う。(応用基礎レベル(データサイエンス))
[令和4年度春学期 学生からの主な感想・意見]
- データサイエンスの基礎事項を学ぶことができた。説明もわかりやすかった。(リテラシーレベル)
- 実技もあって身につくことが多かった。(リテラシーレベル)
- プログラミングに強く興味を持てた。楽しく積極的に学習ができた。(応用基礎レベル(経済・データサイエンス))
- プログラミングの授業は難しいところもあったが、その分理解できたときはすごく達成感があった。(応用基礎レベル(経済・データサイエンス))
- 実際の現場で働いている方々の経験や知識を交えた授業内容となっており、大変良い機会となった。(応用基礎レベル(経済・データサイエンス))
[令和3年度秋学期 学生からの主な感想・意見]
- 予習の動画が用意されていて何度でも見直すことができ、自分の都合の良い時間に履修することができる点が良かった。
- プログラミングの授業は少し難しく感じたので復習したい。
- 資料が具体的に書かれていて理解しやすかった。
[令和3年度春学期 学生からの主な感想・意見]
- データサイエンスに関して様々な分野の話が聞けてとても良い経験になった。
- 幅広い分野でデータサイエンスが活用できることが理解できた。
- データサイエンスについて多くの情報が得られる授業で、先生も情熱を持って教えてくれた。
- 毎回の授業の後でミニテストを受ける必要があるのはとても良かった。
- 次の授業で先生がミニテストの内容について一緒に議論してくれたのが助かった。
- 実践が多い授業だったので理解しやすかった。
- データサイエンスの概要は理解できたが、Pythonを使っての演習は難しかった。
- 説明がわかりにくいところがあった。
関連情報
「データサイエンスeラーニング教材」 滋賀大学では、「文理融合型大学への転換」を実現させるため、本学の学生がいつでもどこでもデータサイエンスの基礎を学ぶことができるeラーニング教材を導入しています。 この教材は、データサイエンス教育の全学・全国への展開を目的に本学が開発した「大学生のためのデータサイエンス(Ⅰ)」、「大学生のためのデータサイエンス(Ⅱ)」、「大学生のためのデータサイエンス(Ⅲ)問題解決編」及びより基礎から学びたい学生のための「高校生のためのデータサイエンス入門」から構成されています。 文系・理系を問わず大学生として身につけておきたい基礎知識を自分のペースで学ぶことができますので、自習教材として利用してみましょう。