2024/12/25
研究成果 教育 全対象

サイエンスアゴラin滋賀「どうなる?どうする!?教育DX」開催報告

 12月8日、大津キャンパスで、サイエンスアゴラin滋賀「どうなる?どうする!?教育DX」を開催しました。当日は、約90名(登壇者やイベント関係者を含む)が会場に集い、滋賀大学教育学部・加納圭教授が本イベントの趣旨説明を行いました。

サイエンスアゴラin滋賀プログラム

<開催概要>
■ 開催日時:2024年12月8日(日)13時〜17時
■ 会場:滋賀大学 大津キャンパス(教育学部)大中講義棟 大講義室ほか
■ 主催:滋賀大学
■ 共催:科学技術振興機構(JST)
■ 協力:大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)
*本シンポジウムは、JST-RISTEX『科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム』「教育データ利活用EdTech(エドテック)のELSI対応方策の確立とRRI実践」(代表者:加納圭教授)の一環で実施しました。
■ 開催案内ページはこちら

加納先生趣旨説明

加納先生趣旨説明

滋賀大学教育学部・加納圭教授

第1部

 第1部は、「どうなる?教育DX」と題して、シンポジウム形式で進行しました。教育DXの最近の動向を一気に把握できる2時間でした。

実践編

 第1部実践編では、大阪大学ELSIセンター・水町衣里准教授の総合司会のもと、一般社団法人ICT CONNECT 21フェロー・石坂芳実氏から「教育DXと学習eポータル」について、京都市立西京高等学校・木村和人教諭から「DXハイスクールの実践報告:高校の現場から AI活用で変わる英文和訳指導の新たな展開」について、草津市役所教育委員会事務局学校政策推進課・原田真弓氏から「草津市学校教育情報化推進計画について」の話題提供がありました。

 その後、京都大学総合博物館・塩瀬隆之准教授による進行のもと、パネルディスカッションを行いました。教育DXに関わる業界団体、自治体、学校といったそれぞれの立場から、参考にしている事例はあるのかどうか、現在何が課題と感じているのか、などが共有されました。

大阪大学ELSIセンター・水町衣里准教授


一般社団法人ICT CONNECT 21・石坂芳実氏


京都市立西京高等学校・木村和人教諭


草津市役所教育委員会事務局学校政策推進課・原田真弓氏


実践編パネルディスカッション

俯瞰編

 第1部俯瞰編は、岡山大学法学部・堀口悟郎教授の総合司会のもと、東北大学名誉教授でGPAI東京専門家支援センターセンター長、RInCAプログラムアドバイザーの原山優子氏から「教育のため・教育における人工知能 (AI)」について、大阪大学ELSIセンター・岸本充生センター長から「そのEdTech、マズくない? “炎上”を未然に防ぐには」について、大阪大学ELSIセンター・若林魁人特任研究員から「世界一周調査(OECD・スウェーデン・米国・韓国)に基づくグローバル動向」について、話題提供がありました。

 俯瞰編のパネルディスカッションでは、南山大学国際教養学部・神崎宣次教授による進行のもと、他の国の導入事例やそこから得られる教訓などを日本社会にどのように活かすことができるのか?、ELSIについて教育DXに関わる多様な立場の人たちが自分ごととして捉えるには?といったことや、教育DXのこの先を考えると「そもそも先生とは」「そもそも学校とは」「そもそも教育とは」を再考せざるを得なくなるということなどが語られました。

岡山大学法学部・堀口悟郎教授


東北大学名誉教授・原山優子氏


大阪大学ELSIセンター・岸本充生センター長


大阪大学ELSIセンター・若林魁人特任研究員


俯瞰編パネルディスカッション

第2部

 第2部は、参加者同士の意見交換や交流ができる企画「どうする?教育DX」を行いました。この時間は、2つの企画を用意し、参加者には2つの企画を自由に行き来しつつ、お楽しみいただきました。子ども同伴で参加できるように、キッズコーナーも用意しました。

キッズコーナー

ラウンドテーブル「どうする!?未来の学校」

 ラウンドテーブル「どうする!?未来の学校」では、大阪大学大学院人間科学研究科・後藤崇志准教授を世話人とし、カフェのようなスペースを用意し、参加者同士で情報交換したいという方が参加されました。パブリックコメント普及協会・吉岡久恵氏と野添幹雄氏によるテーブルファシリテーションのもとで、「EdTechのELSI論点101」を参考にしながら未来の学校について対話がなされました。

大阪大学大学院人間科学研究科・後藤崇志准教授

ラウンドテーブル「どうする!?未来の学校」

RADIO ELSI「世界のEdTechから」

 RADIO ELSI「世界のEdTechから」では、大阪大学全学教育推進機構・村上正行教授を世話人とし、ラジオ番組風のトークセッションを開催しました。パーソナリティーを若林特任研究員が務め、世界の動向をもっと知りたいという方が参加されました。各国の教育DX事情に詳しいゲストが入れ替わり立ち替わり登場しました。

 最初のゲストは、ユヴァスキュラ大学フィンランド国立教育研究所Postdoctoral Researcherの矢田匠氏で、朝早くのフィンランドから中継で参加いただき、フィンランドの現状について伺いました。

 次に、神崎教授をゲストに迎え、OECDグローバルフォーラムについて伺いました。

 その後、米国との中継を行い、福岡大学人文学部・佐藤仁教授、大阪大学大学院人間科学研究科・高橋哲准教授、本学教育学部・藤村祐子准教授をゲストに迎え、米国の現状について伺いました。

 その次には、本企画の世話人がパーソナリティーに加わり、若林特任研究員から世界一周調査について紹介がありました。

 最後に、オーストラリア国立大学客員研究員として本学の加納教授が登場し、オーストラリアの現状が共有されました。

大阪大学全学教育推進機構・村上正行教授


パーソナリティー・若林特任研究員


タイムテーブル

RADIO ELSI「世界のEdTechから」


ユヴァスキュラ大学フィンランド国立教育研究所・矢田匠氏


神崎教授がOECDグローバルフォーラムについて紹介


米国との中継


若林特任研究員が世界一周調査について紹介


加納教授がオーストラリアの現状を共有


 これからの教育DXのあり方を見定めるには、サービス開発をする企業や、教育委員会、学校で働く教職員、児童・生徒、保護者など、さまざまな立場から、現状や倫理的・法的・社会的課題を共有し、対話を重ねていくことが必要です。また、AIが教育分野で利活用されていくことによって、そもそも学校教育とは何で、どのような役割を果たしていくべきなのかといった根源的な問いも生まれてきました。今後も、未来の学校教育のあり方を皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

未来について感じるドキドキやモヤモヤを書いてもらった紙

【このページの作成】

広報課

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