経済学部の松下京平教授と森宏一郎教授の共著論文がJournal of Cleaner Productionに掲載されました。Journal of Cleaner Productionは、インパクトファクター(自然科学・社会科学分野の学術雑誌の影響度を示す指標のひとつ)が9.7で、最も高いランク(Q1)に位置する一流誌です。
なお、本論文の筆頭著者の京井尋佑さん(山形大学人文社会科学部・講師、滋賀大学経済経営研究所・客員研究員)は、本学経済学部(森ゼミ)の卒業生です。
研究内容
本論文は、経済効率、持続可能な開発目標(SDGs)、環境保護の3つのシナリオを想定し、世界の農業における水と二酸化炭素の真の価値・費用を実証的に推定するものです。分析結果から、以下の3つの重要な知見が得られました。第一に、農業生産が関連するSDGs(目標2、6、13)を達成するためには水価格上昇を伴う。第二に、環境保護を優先する場合、水の価値が急速に上昇するため、水は労働で代替されるようになる。一方、SDGsシナリオでは水は労働と補完的であり、食料生産増加には労働がより重要になる。第三に、現在のCO2の(排出)価格はすべてのシナリオで推定される費用より低い。これらの結果は、①実際の市場において水の適切な価値が見落とされているため農産物が過小評価されている、②現行の炭素税が低い水準にあるため農業分野でのCO2削減は不十分な可能性が高い、ことをそれぞれ示唆するものです。
論文情報
雑誌名:Journal of Cleaner Production
論文名:Seeking Sustainable Efficient Global Agricultural Production with Nexus Approach
著者:Kyoi, S., Mori, K., and Matsushita, K.
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jclepro.2024.143805
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959652624032542?via%3Dihub
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