経済学部楠田浩二教授と菊池健太郎准教授の共著論文がMathematics and Financial Economicsに採択されました。
Mathematics and Financial Economicsは、一流国際誌の指標であるScience Citation Index ExpandedとSocial Science Citation Indexの両指標に含まれています。
研究内容
将来の不確実性は、確率分布が既知の場合の「リスク」と確率分布さえ未知の場合の「ナイトの不確実性(曖昧性)」に分類されます。世界金融危機以降、ナイトの不確実性下で最悪の確率分布を想定する頑健効用を有する投資家の最適消費・投資問題が研究されています。「相似拡大的頑健効用」は一定の相対的リスク回避度と一定の相対的曖昧性回避度で特徴付けられる有力な頑健効用です。しかし、一般に、投資家は加齢に伴い経済に対する知識を蓄積し、予測能力を高めてゆきますので、相対的曖昧性回避度は加齢に伴い低下するとみるのが自然です。そこで本研究では、加齢に伴い相対的曖昧性回避度が低下する「年齢依存頑健効用」を提案し、同効用の下での最適消費・投資問題を考察しています。最適消費・投資条件から導かれる間接効用関数の偏微分方程式は非線形となりますが、本研究では非線形項を線形近似し、近似解析解を導出しています。実証分析では、株式への投資比率が若年期に上昇し、中年期にピークを迎え、その後は低下する山形の形状となることが示されています。我々が導いた近似最適投資に基づく数値分析の結果は、株式への投資比率が山形の形状となることを支持しています。
論文情報
雑誌名:Mathematics and Financial Economics
論文名:Age-dependent robust strategic asset allocation with inflation–deflation hedging demand
著者:Koji Kusuda , Kentaro Kikuchi
DOI:https://doi.org/10.1007/s11579-024-00369-9
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s11579-024-00369-9
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